お客様からのご相談
【兵庫県西宮市・N.Y様(50代・ご夫婦)】
こんにちは。我が家は15年前に、大手のハウスメーカーで家を建てました。先日、そのメーカーによる15年目の定期点検があり、その際に外壁と屋根のリフォームを提案されました。
驚いたのは、その見積もり額です。なんと250万円でした。担当者さん曰く、「この公式リフォームを行っていただくことが、建物の構造保証をさらに15年延長するための条件です」とのこと。使われている外壁材もメーカー独自のものらしく、特別な塗料が必要だと言います。
正直、あまりに高額だと感じたため、地元の評判の良い塗装専門店にも見てもらったところ、国内の有名メーカーの最高級グレードの塗料を使っても160万円でできる、という見積もりが出てきました。その差、実に90万円です。
私たちは、手厚い保証に魅力を感じてこのハウスメーカーを選んだ手前、保証が切れてしまうのは非常に不安です。しかし、この90万円の差額は、本当に「保証延長」という安心のためだけに支払うべきものなのでしょうか。
メーカーの担当者さんからは、「外部の業者で工事をすると、建物の品質が保証できなくなり、保証の対象外になる可能性も…」と少し脅しのようなニュアンスも感じ、どう判断すれば良いのか、夫婦で完全に途方に暮れています。
AI館長・塗田がお答えします!
N.Y様、こんにちは!外壁塗装リフォーム館のAI館長の塗田です。
これは…、大手ハウスメーカーでお家を建てられた多くの方が、10年、15年という節目で直面する、まさに「究極の選択」ですね。長年信頼してきたメーカーへの安心感と、目の前の大きな金額差との間で、心が引き裂かれるようなお気持ち、お察しいたします。
「保証が切れるかもしれない」——。その一言は、お住まいを大切に想うN.Y様ご夫妻にとって、何より重い言葉だと思います。
ご安心ください。その90万円という価格差の「正体」と、「保証」という言葉の「本当の意味」を正しく理解すれば、N.Y様ご夫妻が心から納得できる、賢い道筋が必ず見えてきます。今日は、そのための判断材料を、一つひとつ丁寧に解説させていただきます。
なぜ高い?ハウスメーカーの見積もりに含まれる「3つの安心料」
まず、ハウスメーカーの250万円という見積もりが、なぜ地元の専門店の160万円より90万円も高いのか。その価格差は、単なる利益の上乗せだけではなく、いくつかの「安心料」が含まれていると考えることができます。
- ①「保証延長」という名の保険料これが価格差の最大の要因です。メーカーが提供する「構造体の保証延長」は、万が一、建物の構造や防水に重大な欠陥が見つかった場合に、巨額の修理費をメーカーが負担してくれるという、一種の長期的な保険です。90万円の差額の一部は、この保険に加入するための掛け金と考えることができます。
- ② 建物の全情報を握っている「絶対的な信頼性」メーカーは、N.Y様邸の設計図、使用建材、施工記録といった全データを保管しています。これにより、「この外壁材には、この塗料とこのシーリング材が最適」という、間違いのない選択が可能です。この**「失敗のリスクが限りなくゼロに近い」という価値**も、価格に含まれています。
- ③ ブランド維持と下請け管理の「諸経費」テレビCMなどの広告宣伝費、研究開発費、そして実際に工事を行う下請け業者を管理・監督するための人件費など、ブランドを維持するための様々な経費が価格に反映されます。これも、均一で高い品質を全国で提供するためのコストと言えます。
「保証が切れる」は本当?知っておくべき法律と事実
さて、N.Y様が最も懸念されている「外部業者を使うと保証が切れる」という点についてです。これは、少し言葉の解釈を正確にする必要があります。
結論から言うと、「塗装を外部の業者に頼んだ」という、ただそれだけの理由で、ハウスメーカーが既存の構造保証全体を一方的に無効にすることは、法律(消費者契約法など)上、認められにくいのが実情です。
では、メーカー担当者の言葉の真意は何か。それは、
「もし、外部業者の“不適切な施工”が“原因”で、建物の構造や防水に問題が生じた場合、その“問題が起きた箇所”に関しては、私たちの保証の対象外になりますよ」
ということです。
例えるなら、自動車の保証と同じです。正規ディーラーではない街の整備工場でオイル交換をしても、それだけで車のエンジン保証が無効になることはありません。しかし、もしその整備工場が間違ったオイルを使ったことが原因でエンジンが故障した場合、その修理代はメーカーの保証対象外になりますよね。
つまり、リスクの有無は**「選んだ地元業者の腕次第」**ということなのです。
地元の優良業者を選ぶ場合にクリアすべき「3つの必須条件」
では、もし90万円の価格差を重視し、地元の優良業者に依頼するという選択をする場合、そのリスクをゼロに近づけるためにはどうすれば良いのでしょうか。以下の3つの条件をクリアできる業者かどうかを、厳しく見極めてください。
- 条件①:メーカー独自の建材への「深い知識と経験」があるか「〇〇ホームさんの外壁は、シーリングの仕様が特殊なので、この材料を使わないとダメなんです」「この外壁材は熱をためやすいので、この下塗り材との相性が良いんですよ」といった、メーカーの家の施工実績に裏打ちされた、具体的な知識を持っているかを確認しましょう。
- 条件②:施工品質を「完璧に証明」できるか万が一、将来トラブルが起きた際に、「私たちの工事が原因ではありません」と証明できるように、徹底した施工記録を残してくれる業者を選びましょう。特に、防水に関わるシーリングの工程や、下地処理の各段階の詳細な写真報告は必須です。
- 条件③:メーカー保証を補う「手厚い自社保証」と「保険」があるかメーカーの保証が「条件付き」になる以上、地元業者が提供する保証が、それに代わる生命線となります。塗膜の剥がれなどを保証する**最長10年以上の「自社保証書」の発行はもちろん、万が一の倒産に備える「リフォーム瑕疵保険」**に加入できる業者であれば、安心感は格段に高まります。
究極の選択。ご夫婦が「安心」を感じるのはどちらですか?
N.Y様、材料は出揃いました。この選択は、「高いか安いか」ではありません。ご夫婦が、どちらの「安心の形」により価値を感じるか、というお話なのです。
- ハウスメーカーを選ぶべきなのは…
- 「価格よりも、一切の不安やリスクから解放されたい」
- 「将来、保証のことで一切の交渉や心配をしたくない」
- 「90万円は、その絶対的な安心感を買うための費用だ」
- …と、割り切れる場合です。
- 地元の優良業者を選ぶべきなのは…
- 「自分たちの目で、本当に信頼できる技術力のある業者を見極めたい」
- 「90万円分の予算を、家の他のリフォームや、家族の未来のために使いたい」
- 「そのために、業者選びの手間や、工事品質のチェックを厭わない」
- …と、考えられる場合です。
どちらが正解、ということはありません。N.Y様ご夫妻が、10年後、20年後に「あの時、こうして良かったね」と笑顔で話せる。そんな選択をされることが、何より大切なのです。

