プロが解説!外壁塗装後の点検ポイント|定期チェックの方法

外壁塗装 - 日本現代住宅

プロが解説!外壁塗装後の点検ポイント|定期チェックの方法

外壁劣化診断チャート

外壁塗装工事が完了した後は、定期的な点検を行うことで、早期に問題を発見し、適切なメンテナンスを行うことが重要です。この記事では、外壁塗装後の点検ポイントや、効果的なチェック方法について詳しく解説します。

外壁塗装後の点検が重要な理由

外壁塗装後の定期点検を行うことで、以下のようなメリットがあります:
1. 早期の問題発見:小さな不具合を早期に発見し、大きな損傷に発展する前に対処できる
2. 塗装の寿命延長:適切なメンテナンスにより、塗装の寿命を最大限に延ばすことができる
3. 修繕費用の削減:小さな段階での補修は、大規模な修繕に比べて費用が抑えられる
4. 住宅の資産価値維持:美観と機能性を保つことで、住宅の資産価値を維持できる

外壁塗装後の点検タイミング

1. 施工直後の点検(引き渡し時)

工事完了時に、施工業者と一緒に行う点検です。塗装の仕上がりや、施工品質を確認します。

チェックポイント

  • 塗装ムラや塗り残しがないか
  • 色むらや光沢ムラがないか
  • 窓や玄関ドアなどに塗料が付着していないか
  • 養生の取り忘れがないか
  • 足場の撤去後に損傷がないか

2. 施工後3〜6ヶ月の点検

塗装が完全に定着し、初期の不具合が現れやすい時期の点検です。

チェックポイント

  • 塗膜の剥がれや浮きがないか
  • 微細なひび割れが発生していないか
  • 色あせや変色がないか
  • シーリング部分の不具合がないか

3. 定期点検(年1回程度)

年に1回程度、定期的に行う点検です。特に台風シーズン前や、厳しい冬を越した後などに行うと効果的です。

チェックポイント

  • 塗膜の劣化状態
  • ひび割れや剥がれの有無
  • カビや藻の発生状況
  • シーリングの劣化状態
  • 雨樋や排水設備の状態

4. 中期点検(3〜5年後)

塗装後3〜5年経過した時点での点検です。この時期から徐々に劣化が進行し始めるため、重点的なチェックが必要です。

チェックポイント

  • 塗膜の全体的な劣化状態
  • チョーキング(白亜化)の発生状況
  • 色あせや変色の程度
  • 防水性能の低下兆候
  • 次回塗り替え時期の検討

部位別の点検ポイント

1. 外壁面

建物の大部分を占める外壁面は、最も重点的にチェックすべき部位です。

チェックポイント

  • ひび割れ:特に窓周りや出隅(でずみ)部分
  • 塗膜の剥がれ:指で軽く触れて確認
  • チョーキング:手で触れて白い粉が付くか確認
  • 色あせ:特に日当たりの良い南面や西面
  • カビや藻:北面や日陰部分を重点的に

2. 目地・シーリング部分

外壁材の継ぎ目や窓枠周りなど、シーリング材が使用されている部分は、雨水侵入の原因になりやすいため、注意深くチェックが必要です。

チェックポイント

  • ひび割れ:シーリング表面のひび割れや亀裂
  • 剥がれ:壁面からの剥離
  • 硬化:弾力性の低下(指で押して確認)
  • 汚れ:カビや変色

3. 軒天・破風板

軒天(のきてん)や破風板(はふいた)は、雨や紫外線の影響を受けやすく、カビや腐食が発生しやすい部位です。

チェックポイント

  • カビ・藻:特に北面や湿気の多い場所
  • 塗膜の剥がれ:特に軒先や端部
  • 腐食:木部の場合は特に注意
  • 変色:雨染みや水染み

4. 雨樋・排水設備

雨樋や排水設備の不具合は、外壁の汚れや劣化の原因になります。定期的な清掃と点検が重要です。

チェックポイント

  • 詰まり:落ち葉やゴミによる詰まり
  • 破損:ひび割れや変形
  • 接合部:継ぎ目の緩みや外れ
  • 固定部:金具の緩みや腐食
  • 排水状況:雨の日に正常に排水されているか

効果的な点検方法

1. 目視点検

最も基本的な点検方法です。地上から双眼鏡などを使用して、または近くから外壁を観察します。

ポイント

  • 晴れた日の午前中(陰影がはっきり見える時間帯)に行う
  • 全方位から観察する(特に日当たりの良い面と悪い面)
  • 写真を撮影して記録しておく(経年変化の比較用)

2. 触診点検

手で触れて確認する方法です。塗膜の浮きやチョーキング、シーリングの硬化などを確認できます。

ポイント

  • 手袋を着用する
  • 指先で軽く押して塗膜の浮きを確認
  • 手のひらで撫でてチョーキングを確認
  • シーリングを指で押して弾力性を確認

3. 打診点検

壁面を軽く叩いて、音の違いから塗膜の浮きや下地の劣化を確認する方法です。

ポイント

  • プラスチック製のハンマーや指の関節で軽く叩く
  • 健全な部分と比較して音の違いを確認
  • 空洞音がする場合は塗膜の浮きや下地の劣化の可能性

4. 水濡れ点検

水をかけて、撥水性や吸水性を確認する方法です。塗膜の防水性能の低下を確認できます。

ポイント

  • スプレーボトルで少量の水を吹きかける
  • 水滴が玉状になるか(撥水性がある)、すぐに吸収されるか(撥水性が低下)を確認
  • 乾燥後に水染みが残らないか確認

点検時に注意すべき劣化サイン

1. チョーキング(白亜化)

塗膜表面が粉状になり、手で触れると白い粉が付く現象です。塗膜の劣化が進行している証拠です。

対処法

  • 軽度の場合:洗浄後、撥水剤の塗布
  • 中〜重度の場合:再塗装の検討

2. クラック(ひび割れ)

外壁にひび割れが発生している状態です。放置すると雨水が侵入し、下地材の劣化を招きます。

対処法

  • ヘアクラック(細かいひび割れ):専用の補修材で埋める
  • 大きなクラック:専門業者による補修

3. 塗膜の剥がれ・浮き

塗膜が外壁から剥がれたり、浮いたりしている状態です。下地材の露出や劣化につながります。

対処法

  • 小範囲の剥がれ:剥がれた部分を除去し、部分補修
  • 広範囲の剥がれ:再塗装の検討

4. 変色・色あせ

紫外線や雨水の影響で、塗装の色が変わったり、あせたりしている状態です。

対処法

  • 軽度の場合:洗浄後、撥水剤の塗布
  • 中〜重度の場合:再塗装の検討

5. カビ・藻・コケの発生

湿気の多い環境や日陰部分に、カビや藻、コケが発生している状態です。見た目だけでなく、塗膜の劣化も促進します。

対処法

  • 初期段階:専用の洗浄剤で洗浄
  • 繰り返し発生する場合:防カビ・防藻塗料での再塗装

点検記録の作成と保管

点検結果を記録し、保管することで、外壁の経年変化を把握し、適切なメンテナンス計画を立てることができます。

記録すべき項目

  • 点検日
  • 点検者
  • 天候・気温
  • 点検箇所と方法
  • 発見した不具合とその程度
  • 対処方法と実施日
  • 写真記録

記録方法

  • 専用の点検シートを作成する
  • デジタルデータとして保存する
  • 写真と合わせて保管する
  • 前回の点検結果と比較できるようにする

プロによる点検サービス

自分で点検するのが難しい場合や、より専門的な点検が必要な場合は、プロによる点検サービスを利用することをおすすめします。

プロによる点検のメリット

  • 専門的な知識と経験による正確な診断
  • 高所や危険な場所も安全に点検
  • 専用の機器を使用した詳細な調査
  • 適切な補修方法のアドバイス

点検サービスの種類

  • 無料点検:多くの塗装業者が提供する基本的な点検サービス
  • 有料点検:より詳細な調査や報告書作成を含むサービス
  • 定期メンテナンス契約:定期的な点検とメンテナンスをセットにしたサービス

よくある質問

Q. 外壁塗装後、最初の点検はいつ行うべきですか?
A. 施工直後の引き渡し時に業者と一緒に点検を行い、その後3〜6ヶ月後に初回の点検を行うことをおすすめします。初期の不具合は施工後半年以内に現れることが多いため、この時期の点検が重要です。その後は年1回程度の定期点検を行いましょう。
Q. 外壁の点検は自分でもできますか?
A. 基本的な目視点検や、手の届く範囲での触診点検は、ご自身でも可能です。ただし、高所作業や専門的な判断が必要な場合は、安全面を考慮して専門業者に依頼することをおすすめします。また、定期的にプロの点検を受けることで、見落としがちな不具合も発見できます。
Q. 外壁にひび割れを発見した場合、すぐに対処すべきですか?
A. はい、ひび割れは早めに対処することをおすすめします。特に0.3mm以上の幅があるひび割れは、雨水の侵入経路となり、下地材の劣化や内部結露の原因になる可能性があります。小さなひび割れでも、放置すると拡大することがあるため、発見したらなるべく早く補修しましょう。詳しくは「よくある失敗と対処」をご覧ください。

まとめ

外壁塗装後の定期的な点検は、塗装の寿命を延ばし、住宅の資産価値を維持するために非常に重要です。施工直後、3〜6ヶ月後、そして年1回程度の定期点検を行うことで、早期に問題を発見し、適切に対処することができます。
点検では、ひび割れ、塗膜の剥がれ、チョーキング、変色、カビの発生などをチェックし、必要に応じて適切なメンテナンスを行いましょう。また、点検結果を記録し、経年変化を把握することも大切です。
自分で点検するのが難しい場合や、より専門的な点検が必要な場合は、プロによる点検サービスを利用することをおすすめします。
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外壁塗装の塗り替え時期の見極め方
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