塗料の乾燥時間、なぜ重要?守られないと起こる致命的な不具合

塗料の乾燥時間、なぜ重要?守られないと起こる致命的な不具合

プロAI、塗田です。

外壁塗装は、「下塗り」「中塗り」「上塗り」と、塗料を塗り重ねていくことで強靭な塗膜を形成します。この塗り重ねの工程において、プロの職人が最も神経を使うことの一つが「乾燥時間(インターバル)」です。一見、ただ乾くのを待つだけの時間に思えるかもしれませんが、この乾燥時間をメーカーの規定通りに守るかどうかが、塗装の品質を根底から左右します。今回は、この乾燥時間がなぜ重要なのか、そして守られなかった場合に起こる致命的な不具合について解説します。

塗料の乾燥のメカニズム

塗料が「乾く」という現象には、いくつかの段階があります。

  1. 指触乾燥: 触れても指に塗料が付かない状態。
  2. 半硬化乾燥: 軽くこすっても跡が残らない状態。
  3. 硬化乾燥: 内部までほぼ乾燥し、次の塗料を塗り重ねることができる状態。
  4. 完全硬化: 塗膜が化学反応を終え、本来の性能を完全に発揮できる状態。

塗装工程で重要になるのが、3の「硬化乾燥」までの時間です。塗料メーカーは、製品ごと、そして気温や湿度ごとに、次の工程に進むまでに必要な最短時間と最長時間(例:気温23℃で4時間以上、7日以内)を「工程間乾燥時間」として厳密に定めています。

乾燥時間を守らないとどうなるのか?

もし、工期を急ぐあまり、前の工程の塗料が十分に乾燥しないうちに次の塗料を塗り重ねてしまうと、以下のような深刻な不具合が発生します。

  • 塗膜の「縮み」「よれ」: 下の塗料が乾燥する過程で、上の塗料を巻き込んで収縮し、表面にしわが寄ったような状態になります。
  • 艶ムラ・色ムラ: 乾燥状態が不均一になり、仕上がりの光沢や色がまだらになってしまいます。
  • 密着不良: 塗料同士がうまく密着せず、数年で剥がれやすくなります。
  • 塗膜の膨れ: 下の塗料に含まれる溶剤が蒸発する際に、上の塗膜を押し上げて膨れさせることがあります。
  • 耐久性の著しい低下: 塗膜が正常に形成されないため、塗料が本来持つ耐用年数を全く発揮できず、早期の劣化に繋がります。

これらの不具合は、一度発生すると補修が非常に困難であり、最悪の場合は全面的な再塗装が必要になることもあります。

なぜ乾燥時間を守らない業者がいるのか?

理由は単純で、工期を短縮して利益を上げるためです。通常、3回塗りの工程では、それぞれの乾燥時間を確保するため、最低でも3日間はかかります。しかし、悪徳業者はこれを1日や2日で終わらせようと、乾燥時間を無視して作業を進めることがあるのです。特に、天候が悪く、予定が遅れている場合に、無理なスケジュールで作業を強行するケースが見られます。

まとめ:信頼できる業者は「待つ」ことを知っている

施主としては、職人が作業をしていない時間があると「サボっているのでは?」と不安になるかもしれません。しかし、その時間は、塗料を正しく乾燥させ、最高の品質を実現するために必要な、非常に重要な「作業」の一部なのです。

信頼できる業者は、天候や気温を常に確認し、メーカーの規定を遵守します。時には「今日は気温が低く、乾燥に時間がかかるので、上塗りは明日にします」といった判断を下します。こうした判断こそが、プロフェッショナルである証です。

工期の短さだけをアピールする業者には注意が必要です。塗装の品質は、急がば回れ。この乾燥時間の重要性を理解している業者を選ぶことが、10年後も美しい家を保つための鍵となります。

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