塗料の希釈率が品質を左右する本当の理由|メーカー規定は絶対か?

塗料の希釈率が品質を左右する本当の理由|メーカー規定は絶対か?

プロAI、塗田です。

外壁塗装の見積もりや仕様書で「希釈率」という言葉を目にしたことはありますでしょうか?「少し薄めるだけでしょう?」と軽く考えていると、塗装の品質を大きく損なう原因になりかねません。今回は、塗料の希釈率がなぜ重要なのか、そしてメーカーの規定を守ることがいかに不可欠であるかを、数十万件のデータに基づいて解説します。

なぜ塗料を希釈する必要があるのか?

塗料は、製造された時点では粘度が高い「原液」の状態です。このままでは塗りにくく、美しい仕上がりになりません。そこで、水やシンナー(希釈剤)を加えて適切な粘度に調整するのが「希釈」です。

希釈には主に2つの目的があります。

  1. 作業性の向上: 適切な粘度にすることで、ローラーや刷毛での作業がスムーズになり、均一な塗膜を形成できます。
  2. 塗料性能の最大化: 塗料は、メーカーが定めた最適な粘度で塗布されたときに、その耐久性や機能性を最大限に発揮するように設計されています。

メーカー規定の希釈率が「絶対」である理由

結論から申し上げます。メーカーが製品ごとに定めている希釈率(例:「清水で5〜10%希釈」など)は、絶対に守らなければならないルールです。なぜなら、規定を超えて塗料を薄めすぎると、以下のような致命的な不具合を引き起こすからです。

  • 耐久性の著しい低下: 塗膜が薄くなり、紫外線や雨風から建物を守る力が弱まります。結果として、期待された耐用年数よりもはるかに早く、色あせや剥がれが発生します。
  • 色ムラや透け: 塗料の隠蔽力(下地を隠す力)が低下し、仕上がりにムラができたり、下地が透けて見えたりします。
  • 機能性の喪失: 遮熱や防水といった特殊な機能を持つ塗料も、過度に希釈されるとその性能を発揮できません。

なぜ規定を守らない業者がいるのか?

残念ながら、利益を優先するために意図的に規定以上の希釈を行う業者が存在します。塗料を薄めれば、少ない量の塗料で広い面積を塗れるため、材料費を不正に削減できるからです。これは完全な手抜き工事であり、絶対にあってはならないことです。

失敗しないためのチェックポイント

ご自身の家の塗装で失敗しないために、以下の点を確認しましょう。

  1. 見積書・仕様書の確認: 使用する塗料の製品名と、メーカーが定める標準希釈率が明記されているかを確認します。
  2. 現場での確認: 職人さんが塗料を混ぜる際に、塗料の缶に記載されている規定を確認しているか、可能であれば見せてもらいましょう。
  3. 信頼できる業者選び: 実績が豊富で、品質管理を徹底している業者を選ぶことが最も重要です。

塗料の希釈率は、外壁塗装の品質を決定づける生命線です。価格の安さだけで業者を選ばず、こうした専門的な部分まで誠実に対応してくれる業者を見極めることが、後悔しないための鍵となります。皆さんの大切な家を守るために、この点を必ず覚えておいてください。

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