外壁塗装の完全マニュアル|施工手順から完成まで全工程を詳しく解説
外壁塗装は複数の工程から成り立っており、それぞれが重要な役割を持っています。この記事では、外壁塗装の標準的な工程と流れ、各工程の重要性、そして工事期間の目安について詳しく解説します。
📋 この記事の目次
外壁塗装の標準的な工程
一般的な外壁塗装の工程は以下の通りです。それぞれの工程について詳しく見ていきましょう。
1. 事前調査・見積もり
外壁塗装の第一歩は、専門業者による事前調査です。この段階で、外壁の状態や劣化具合、必要な補修箇所などを確認します。
事前調査で確認すること
- 外壁の種類(サイディング、モルタル、ALC等)
- 外壁の劣化状況(ひび割れ、チョーキング、カビ等)
- 塗装面積の測定
- 付帯部分の状態確認
- シーリングの劣化状況
事前調査の結果をもとに、使用する塗料や必要な補修工事、工事期間、費用などを記載した見積書が作成されます。
詳しくは「見積もりの見方と比較ポイント」をご覧ください。
2. 契約・工事日程の決定

見積内容に納得したら契約を行い、工事日程を決定します。この際、以下の点を確認しておくことが重要です。
– 工事の開始日と終了予定日
– 天候不良時の対応
– 工事中の注意事項(駐車場の使用制限、洗濯物の干し方など)
– 支払い条件と方法
詳しくは「契約時の確認ポイント」をご覧ください。
3. 足場の設置
安全かつ品質の高い施工を行うために、まず足場を設置します。足場は以下の役割を果たします。
– 作業員の安全確保
– 均一で丁寧な塗装作業を可能にする
– 近隣への塗料の飛散防止
足場には主に単管足場とくさび足場があり、それぞれ特徴が異なります。
詳しくは「足場設置のポイント」をご覧ください。
4. 高圧洗浄
外壁の汚れやコケ、古い塗膜の浮きなどを高圧洗浄機で除去します。この工程は以下の理由で非常に重要です。
– 塗料の密着性を高める
– 汚れを残したまま塗装すると、塗膜の剥がれの原因になる
– カビやコケを除去することで、新しい塗膜の寿命を延ばす
高圧洗浄後は、外壁を十分に乾燥させる必要があります(通常1〜2日)。
詳しくは「高圧洗浄の正しい方法」をご覧ください。
5. 下地処理
塗装の仕上がりと耐久性を左右する重要な工程です。主な下地処理には以下のようなものがあります。
クラック(ひび割れ)補修
外壁のひび割れは、そのまま放置すると雨水の侵入経路となり、建物の劣化を早めます。ひび割れの大きさによって、以下のような補修方法があります。
– ヘアクラック(0.3mm未満): 弾性フィラーでの充填
– 微細クラック(0.3〜1.0mm): Uカットしてシーリング材で充填
– 大きなクラック(1.0mm以上): Vカットしてシーリング材で充填
詳しくは「クラック補修の方法」をご覧ください。
浮いた塗膜の除去
古い塗膜が浮いている部分は、ケレン作業(スクレーパーなどで浮いた塗膜を除去する作業)を行います。
穴や欠損部の補修
モルタル壁などに穴や欠損がある場合は、適切な補修材で埋めて平滑にします。
サイディングの目地処理
サイディング外壁の場合、目地部分のシーリングが劣化していることが多いため、必要に応じてシーリングの打ち替えを行います。
詳しくは「シーリング工事の重要性」をご覧ください。
6. 養生
塗料が付着してはいけない箇所(窓やドア、外構部分など)を保護するために、マスキングテープやビニールシートで覆います。養生が不十分だと、以下のような問題が発生する可能性があります。
– 窓ガラスやサッシに塗料が付着する
– 植栽や外構部分が塗料で汚れる
– 近隣の建物や車に塗料が飛散する
詳しくは「養生の重要な方法」をご覧ください。
7. 下塗り(プライマー)
下塗りは、外壁と塗料の密着性を高めるために非常に重要な工程です。外壁の種類に合わせた適切なプライマー(下塗り剤)を使用します。
外壁の種類別の下塗り材
- モルタル・コンクリート壁: 水性シーラーや弾性フィラー
- サイディング: シーラーや水性カチオンシーラー
- ALC: 専用のALCシーラー
- 金属系サイディング: 錆止め塗料
下塗り後は、十分な乾燥時間を設ける必要があります(通常半日〜1日)。
8. 中塗り
中塗りは、下塗りと上塗りの間に行う工程で、以下の役割があります。
– 塗膜の厚みを確保し、耐久性を高める
– 上塗りの発色を良くする
– 外壁の凹凸を均一にする
中塗りも、十分な乾燥時間を設ける必要があります(通常半日〜1日)。
9. 上塗り
上塗りは、外壁塗装の最終工程です。美観を整え、外壁を保護する役割を果たします。上塗りの回数は、使用する塗料や求める仕上がりによって異なります。
– 一般的には1〜2回の上塗りを行う
– 濃い色や鮮やかな色の場合は、2回の上塗りが推奨される
詳しくは「塗料の種類と特徴」をご覧ください。
10. 付帯部の塗装
外壁だけでなく、以下のような付帯部分も塗装します。
– 軒天(のきてん)
– 破風板(はふいた)
– 雨樋(あまどい)
– 雨戸
– 鉄部(手すりなど)
付帯部分は、それぞれに適した塗料を使用する必要があります。
詳しくは「付帯部の塗装」をご覧ください。
11. 完了検査・清掃
全ての塗装工程が終了したら、以下の点を確認します。
– 塗り残しや塗りムラがないか
– 養生の取り忘れがないか
– 窓の開閉に問題がないか
– シーリングの仕上がりは適切か
また、工事で出たゴミや残材を回収し、周辺の清掃を行います。
12. 足場の解体
全ての工程が完了し、塗料が十分に乾燥したら、足場を解体します。
13. 引き渡し・アフターフォロー
工事完了後、施工業者から工事の説明と今後のメンテナンス方法などの説明を受けます。また、保証書の受け取りも忘れずに行いましょう。
詳しくは「外壁塗装後のメンテナンス」をご覧ください。
外壁塗装の工期(期間)の目安
外壁塗装の工期は、建物の大きさや外壁の状態、天候などによって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
一般的な戸建て住宅(30坪程度)の場合
工程 | 所要日数 |
---|---|
足場の設置 | 1日 |
高圧洗浄 | 1日 |
乾燥期間 | 1〜2日 |
下地処理 | 1〜2日 |
養生 | 半日〜1日 |
下塗り | 1日 |
乾燥期間 | 半日〜1日 |
中塗り | 1日 |
乾燥期間 | 半日〜1日 |
上塗り | 1日 |
乾燥期間 | 半日〜1日 |
付帯部の塗装 | 1〜2日 |
完了検査・清掃 | 半日 |
足場の解体 | 1日 |
合計 | 10〜15日程度 |
### 工期に影響する要因 | |
– 建物の大きさ: 大きな建物ほど工期が長くなります。 | |
– 外壁の状態: 劣化が進んでいる場合、下地処理に時間がかかります。 | |
– 天候: 雨天や高湿度の日は作業ができないため、工期が延びる可能性があります。 | |
– 塗料の種類: 乾燥時間が長い塗料を使用する場合、工期が延びます。 | |
– 追加工事の有無: シーリングの打ち替えなど、追加工事がある場合は工期が延びます。 | |
詳しくは「季節別の塗装のポイント」をご覧ください。 | |
## 外壁塗装工事中の注意点 | |
外壁塗装工事中は、以下の点に注意する必要があります。 | |
### 1. 生活上の注意点 | |
– 窓の開閉: 塗装中は窓を開けられない場合があります。事前に業者と相談しましょう。 | |
– 洗濯物: 塗料の飛散や臭いの付着を防ぐため、工事中は外に洗濯物を干さないようにしましょう。 | |
– 駐車場: 足場の設置や作業スペースの確保のため、車の駐車場所を変更する必要がある場合があります。 | |
– ペット: 塗料の臭いや騒音でペットがストレスを感じる可能性があります。必要に応じて対策を講じましょう。 | |
### 2. 近隣への配慮 | |
– 事前の挨拶: 工事開始前に近隣住民への挨拶を行いましょう。 | |
– 騒音: 高圧洗浄機の使用など、騒音が発生する作業があります。早朝や夜間の作業は避けるようにしましょう。 | |
– 塗料の飛散: 風の強い日は塗料が飛散する恐れがあります。適切な養生と作業管理が重要です。 | |
詳しくは「工事中の生活ガイド」をご覧ください。 | |
## よくある質問 |
まとめ
外壁塗装は、単に色を塗り替えるだけの作業ではなく、複数の重要な工程から成り立っています。それぞれの工程が適切に行われることで、美しく耐久性のある仕上がりが実現します。
外壁塗装を検討する際は、工期や生活への影響も考慮しながら、信頼できる業者を選ぶことが重要です。適切な時期に、適切な工程で外壁塗装を行うことで、住まいを長く美しく保つことができます。
次のステップとして、以下の記事もチェックしてみてください:
– 外壁塗装の基本
– 塗り替え時期の見極め方
– 業者選びのポイント