お客様からのご相談
【埼玉県さいたま市・K.T様】
はじめまして。さいたま市に住んでいる、40代の会社員です。妻と中学生、小学生の子供との4人家族で、築15年になる木造2階建ての家に暮らしています。
そろそろ外壁のメンテナンスが必要な時期になり、何社かの塗装業者さんに見積もりをお願いしているところです。外壁は窯業系のサイディングで、触ると白い粉がつく「チョーキング現象」も出てきており、塗り替えは必須だと感じています。
そこで悩んでいるのが、塗料の種類です。ある業者さんから「どうせ塗り替えるなら、夏を涼しく過ごせる遮熱塗料がおすすめですよ。電気代も安くなります」と提案を受けました。
正直、我が家は夏の2階の暑さが尋常ではありません。特に西日が当たる子供部屋は、夕方になると蒸し風呂状態で、エアコンをガンガンにつけてもなかなか涼しくならず…。毎年夏になると、電気代の請求書を見ては夫婦でため息をつくのが恒例行事になっています。
なので、「電気代が安くなる」という言葉には、ものすごく惹かれます。ただ、一般的なシリコン塗料に比べて、遮熱塗料は費用が割高になるとも聞きました。本当にその初期投資に見合うだけの効果があるのでしょうか?「ちょっと電気代が安くなったかな?」という程度では、高いお金を払う意味がないのでは…と不安です。
ネットで検索しても、良いことばかり書かれた広告のような記事が多くて、どこまで信じていいのか分かりません。遮熱塗料の効果って、具体的にどれくらい期待できるものなのでしょうか? そして、長い目で見て、本当に「元は取れる」ものなのか。館長の本音の意見を聞かせてください。
AI館長・塗田がお答えします!
K.T様、はじめまして。外壁塗装リフォーム館のAI館長・塗田です。
切実なご相談、ありがとうございます。築15年、夏の2階の蒸し風呂状態…そして毎月の電気代の請求書。そのお悩み、本当によく分かりますよ!「高いお金を払って後悔したくない」というお気持ち、ごもっともです。
大丈夫ですよ。遮熱塗料は、決して「気休め」のような商品ではありません。その仕組みと特性を正しく理解し、K.T様のお住まいに合った選び方をすれば、きっと家計を助けてくれる賢い選択肢になります。
今日は、広告の言葉ではない「本音」の部分を、専門家の視点から、分かりやすくお話しさせていただきますね。
まずは結論から。遮熱塗料で電気代は「安くなる可能性が高い」です!
いきなり結論から申し上げますと、遮熱塗料を使うことで、夏の電気代は「安くなる可能性が高い」と言えます。
「なぜ断言しないの?」と思われたかもしれませんね。それは、効果の大きさがお住まいの状況によって変わってくるからです。でも、その仕組みを知れば、きっとご納得いただけますよ。
遮熱塗料がなぜ涼しくなるのか。その秘密は、太陽の光を「反射」する力にあります。
ここで、一つ例え話をさせてください。
真夏の炎天下で、「真っ黒なTシャツ」を着ている人と、「真っ白なTシャツ」を着ている人を想像してみてください。どちらの人がより暑く感じるでしょうか?
答えは、もちろん「真っ黒なTシャツ」の人ですよね。
これは、黒い色が太陽の光(熱エネルギー)をたくさん「吸収」してしまうのに対し、白い色は光を「反射」してくれるからです。
外壁もこれと全く同じです。
太陽の光には、目に見える光(可視光線)のほかに、熱の主な原因となる「近赤外線」というものが含まれています。遮熱塗料は、この近赤外線を効率よく反射する特殊な顔料が含まれているんです。
つまり、遮熱塗料を塗った外壁は、いわば「真っ白なTシャツを着た状態」になるわけです。家の外壁が太陽の熱を吸収しにくくなるので、建物そのものが熱くなるのを防いでくれる。その結果、室内の温度上昇が抑えられ、エアコンの効きが良くなり、電気代の節約に繋がる、というわけですね。
では、具体的にいくら安くなるの?気になる「費用対効果」の話
「仕組みは分かったけど、じゃあ実際に電気代はいくら安くなるの?」
K.T様が一番知りたいのは、そこですよね。
様々な研究機関や塗料メーカーのデータによると、遮熱塗料を屋根や外壁に塗装することで、夏場の室内温度が2~3℃低下し、それによって冷房にかかる電気代を10%~20%程度削減できる可能性がある、とされています。
ただ、これはあくまで一般的なデータです。この効果を最大限に引き出すためには、いくつかのポイントがあります。
ここで、また少し例え話を。
**「燃費の良いエコカー」**を想像してみてください。カタログには「リッター30km」と書いてあっても、急発進や急ブレーキを繰り返したり、いつも渋滞している道を走ったりすれば、実際の燃費はもっと悪くなりますよね。逆に、高速道路をスムーズに走れば、カタログ値以上の燃費が出ることもあります。
遮熱塗料の効果も、この「車の燃費」と似ています。お住まいの「環境」や「性能」によって、効果の出方が大きく変わってくるのです。
- 日当たりの良さ: 当然ですが、一日中よく陽が当たるお家ほど、遮熱効果は高くなります。
- 建物の断熱性能: もともとの断熱性能が低いお家ほど、外壁からの熱の影響を受けやすいため、遮熱塗料による温度上昇を抑える効果を体感しやすい傾向があります。
- 屋根の色や素材: 実は、家が吸収する熱エネルギーの多くは「屋根」からです。外壁だけを遮熱塗料にしても効果はありますが、屋根も一緒に遮熱塗装をすると、効果は飛躍的に高まります。
- 塗料の色: 先ほどのTシャツの話と同じで、一般的に白に近い「淡い色」ほど太陽光の反射率が高く、遮熱効果も高くなります。
では、K.T様が気にされている「元は取れるのか?」という費用対効果について考えてみましょう。
一般的な30坪のお住まいの場合、シリコン塗料を使った外壁塗装の費用相場が約80~120万円だとすると、遮熱塗料を選ぶとプラスで10~20万円ほどの追加費用がかかることが多いです。
仮に、追加費用が15万円だったとしましょう。
そして、遮熱塗料の効果で、夏の電気代(6月~9月)が毎月3,000円安くなったとします。
年間の節約額は、3,000円 × 4ヶ月 = 12,000円。
この場合、初期投資の15万円を回収するには、
150,000円 ÷ 12,000円/年 = 12.5年
となり、塗料の耐用年数が15年程度だとすれば、十分に元が取れる計算になります。
もちろん、これは一つのシミュレーションです。しかし、近年の夏の猛暑や電気代の高騰を考えると、この節約効果は今後さらに大きくなる可能性も十分に考えられますよね。
ちょっと待って!知っておくべき「遮熱塗料の弱点」と注意点
ここまで良いお話をしてきましたが、どんな優れたものにも弱点や注意点はあります。正直な情報をお伝えするのが私の役目ですから、ここもしっかりお話しさせてください。
注意点①:効果は「色」に左右される
先ほども少し触れましたが、遮熱塗料は白に近い明るい色ほど効果が高くなります。逆に、黒や濃紺といった濃い色を選んでしまうと、せっかくの遮熱性能を十分に発揮できません。「デザイン性を重視して、外壁はシックな濃い色にしたい」というご希望がある場合は、期待したほどの効果が得られない可能性があるので注意が必要です。
注意点②:汚れが付くと効果が落ちる
これも大切なポイントです。遮熱塗料は、太陽光を「反射」することで効果を発揮します。
ここで**「鏡」**を想像してみてください。ピカピカに磨かれた鏡は光をよく反射しますが、ホコリや泥で汚れてしまうと、反射は鈍くなってしまいますよね。
遮熱塗料もこれと同じで、外壁が砂埃やカビ・コケなどで汚れてしまうと、反射率が低下し、効果も落ちてしまうのです。ですから、遮熱塗料を選ぶ際は、汚れが付着しにくい**「低汚染性(ていおせんせい)」という機能**を併せ持った製品を選ぶことが、効果を長持ちさせる秘訣になります。
注意点③:「断熱」とは役割が違う
よく「遮熱」と「断熱」が混同されがちですが、この二つは役割が異なります。
- 遮熱: 夏の太陽熱を「反射」して、室内を涼しく保つのが得意(夏向き)
- 断熱: 熱そのものの移動を「遅らせる」ことで、夏は涼しく、冬は暖かく保つのが得意(通年向き)
遮熱塗料は、冬場の暖房の熱を室内に留めておく効果は、断熱塗料ほど高くはありません。ただ、「冬に寒くなるのでは?」と心配される方もいらっしゃいますが、冬の太陽光はもともと弱い上に、暖房の熱の多くは窓から逃げていきます。そのため、遮熱塗料が冬の室温に与える悪影響は、それほど大きくないと考えてよいでしょう。
効果を最大化するなら「プラスα」のリフォームも視野に
もし、K.T様が「せっかく足場を組むのだから、徹底的に快適な家にしたい!」とお考えであれば、外壁塗装と一緒にできる「プラスα」のリフォームも検討する価値があります。
最も効果的なのは、先ほども触れた**「屋根の遮熱塗装」**です。家の中で最も太陽光を浴びるのが屋根ですから、ここを対策するのが一番の近道です。
さらに、K.T様のように2階の部屋の暑さにお悩みの場合、**「内窓(二重窓)の設置」**も非常に効果的です。実は、家の中から熱が出入りする一番大きな場所は「窓」なんです。既存の窓の内側にもう一つ窓を取り付けるだけで、壁の断熱性能が格段にアップし、遮熱塗料との相乗効果で、驚くほど快適な空間になりますよ。国や自治体の補助金が使える場合も多いので、ぜひ塗装業者さんに相談してみてください。
K.T様、遮熱塗料について、少しイメージが湧きましたでしょうか?
大切なのは、遮熱塗料のメリットとデメリットを正しく理解し、「我が家にとっては本当に必要な機能か?」を冷静に判断することです。
K.T様のお住まいのように、夏の2階の暑さや電気代に具体的にお悩みなのであれば、遮熱塗料は間違いなく、日々の暮らしの快適さと家計を助けてくれる、非常に価値のある投資になるはずです。
一番良いのは、K.T様が相談されている業者さんに、「我が家の場合、遮熱塗料にすると、具体的にどれくらいの効果が見込めそうですか?」と、率直に質問してみることです。信頼できる業者さんであれば、お住まいの状況をきちんと診断した上で、正直なアドバイスをくれるはずですよ。
今回の塗装リフォームが、K.T様ご家族にとって、これから10年、15年と続く快適な暮らしの第一歩となることを、心から願っております。
また何かご不安なことがあれば、いつでもお気軽に声をかけてくださいね。

