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お客様からのご相談
【静岡県浜松市・T.N様(50代・ご夫婦)】
はじめまして。先日から、念願だった我が家の外壁塗装工事が始まりました。昨日、足場が組まれ、今日、高圧洗浄が終わったところです。
ところが、今晩のニュースを見て、血の気が引きました。大型で非常に強い台風が、数日後にこの地域を直撃する予報が出ているのです。
家の周りを巨大な鉄パイプで覆われた今の状況で、まともに台風の風を受けたら、足場がぐしゃぐしゃに倒壊してしまうのではないか。自分の家だけでなく、お隣さんの家や車を巻き込んで、大惨事になったらどうしよう…。特に、足場を覆っているメッシュシートが、風を受けて帆のようになり、足場全体を引っ張るのではないかと、想像しただけで恐怖で眠れません。
業者さんからは、まだ何も連絡がありません。こちらから「台風、大丈夫なんですか!?」と電話すべきなのか、それともプロを信じて黙って待つべきなのかも分かりません。
このような場合、まともな業者さんなら、どのような対策を取ってくれるものなのでしょうか。施主として、私たちは何をすべきなのでしょうか。
AI館長・塗田がお答えします!
T.N様、こんにちは!外壁塗装リフォーム館のAI館長の塗田です。
それは、本当にご心配なことと思います。ただでさえ台風のニュースは不安を煽るのに、ご自宅が大きな足場で囲まれていれば、その恐怖やプレッシャーは何倍にも感じられることでしょう。そのお気持ち、痛いほどお察しいたします。
ですが、まず少しだけ、心を落ち着けてください。T.N様がご心配されるこの状況は、塗装業者、特に台風の通り道になりやすい地域で仕事をするプロにとって、**毎年必ず経験する「想定内の事態」**なのです。
そして、信頼できる優良業者であれば、この事態を乗り切るための、確立された「台風対策プロトコル」を持っています。今日は、そのプロの仕事内容と、施主であるT.N様がどう行動すれば良いのかを、具体的にお話しさせていただきます。
大原則:足場は簡単には倒壊しない。しかし対策は必須
まず、最もご心配されている「足場の倒壊」についてです。
専門業者が法律(労働安全衛生法)に則って正しく組み立てた足場は、建物としっかり連結(壁つなぎ)されており、非常に頑丈です。そのため、足場そのものが、台風の風圧だけで根本から倒壊する、というケースは極めて稀です。
しかし、だからと言って、対策が不要なわけでは決してありません。
T.N様がご指摘の通り、**最も危険なのは、足場を覆っている「メッシュシート(飛散防止ネット)」**の存在です。このシートが張られたままだと、巨大な帆となって風の力をまともに受けてしまい、足場にてこの原理で想定外の負荷をかけ、部分的な変形や、最悪の場合は倒壊に繋がるリスクを高めてしまいます。
つまり、プロの台風対策とは、この「メッシュシート」をどう管理するか、に尽きるのです。
これがプロの仕事!優良業者が行うべき「台風対策」3ステップ
信頼できる優良業者は、台風の接近を把握した時点で、以下の手順に沿って行動を開始します。
- ステップ①:業者からの「事前連絡」
- まず、台風が接近する予報が出た2~3日前の段階で、業者側からT.N様に**「台風が近づいておりますので、〇日に、足場の安全対策に伺います」**という連絡が入るはずです。
- 施主様が不安になって電話をする前に、業者側から先回りして連絡をくれる。これが、きちんと現場を管理している優良業者の証です。
- ステップ②:「メッシュシート」の結束
- 台風が上陸する1~2日前に、職人さんが現場を訪れ、最も重要な作業を行います。それは、足場に張られているメッシュシートを、一箇所に畳むか、くるくると巻き上げて、ヒモでポールに固く縛り付ける作業です。
- これにより、風はメッシュシートに遮られることなく、足場の隙間を通り抜けていきます。これで、足場にかかる風圧は、劇的に減少します。
- ステップ③:現場の片付けと最終安全確認
- シートを縛り上げると同時に、足場の上や、建物の周りに置いてある塗料の缶、道具、バケツといった、風で飛ばされる可能性のあるものを、全て片付け、安全な場所に移動させます。これらが強風で飛ばされると、非常に危険な凶器になりかねません。
- 最後に、足場と建物を繋いでいるアンカーなどが緩んでいないか、最終的な安全確認を行います。
施主様ができること、そして「絶対にしてはいけないこと」
業者さんがプロの対策を行ってくれる一方で、T.N様ご自身でできる備えもあります。
【施主様にしていただきたいこと】
- ご自宅の周りの片付け: 植木鉢や物干し竿、自転車など、風で飛ばされそうなものを、ご自身で家の中や物置にしまっておきましょう。
- 業者との連絡体制の確認: 現場責任者の緊急連絡先を、改めて確認しておきましょう。
【施主様が絶対にしてはいけないこと】
- ご自身で足場に登ること: 風が強い中で、慣れない方が足場に登るのは、転落の危険があり、絶対にやめてください。シートの結束などが気になっても、必ず業者に任せましょう。
台風が過ぎ去った後は…
台風が完全に通過し、安全が確認された後、業者は速やかに現場を再訪し、足場に問題がないか、建物やその周辺に被害がないかを点検します。
そして、問題がなければ、結束したシートを再び張り直し、塗装作業の再開準備に入ります。雨で壁が濡れていますので、塗装の再開は、壁が完全に乾くのを待ってからになります。品質を優先するため、1~2日、乾燥期間を置くのが一般的です。
工事期間中に台風が来るのは、確かに心配なことです。しかし、それは、その業者が本当に信頼できるプロフェッショナルかどうかを見極める、絶好の機会でもあります。
もし、明日になっても業者さんから連絡がない場合は、「台風が近づいているようですが、足場の対策はいつ頃ご予定されていますか?」と、落ち着いて確認の連絡をしてみてください。その際の対応が、今後の工事の安心感を測るバロメーターになりますよ。

