建設業許可と塗装技能士資格、本当に信頼できる業者の証とは?
「うちの会社は、建設業許可も持っていますし、一級塗装技能士も在籍しています」
業者選びの際、このような資格や許可をアピールされることがあります。これらは、一見すると信頼できる業者の証のように思えますが、その本当の意味を正しく理解している方は少ないかもしれません。
「許可や資格があれば、絶対に安心」と短絡的に考えるのは危険です。
この記事では、「建設業許可」と「塗装技能士資格」がそれぞれどのようなもので、業者選びにおいてどのように考えれば良いのかを解説します。
1. 建設業許可とは?
建設業許可とは、建設業法に基づき、一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となる、都道府県知事または国土交通大臣からの許可のことです。
外壁塗装工事においては、請負金額が500万円(税込)以上の工事を行う場合に、この許可が必要となります。
許可が意味するもの
建設業許可を得るためには、
- 経営業務の管理責任者がいること(経営経験)
- 専任の技術者がいること(実務経験や資格)
- 財産的基礎があること(自己資本額など)
- 誠実性があること(不正行為などを行わない)
といった、厳しい要件をクリアしなければなりません。
つまり、建設業許可を持っているということは、「経営面で安定しており、法律を遵守する体制が整っている、しっかりとした会社である」という一つの証明になります。
注意点
- 許可がなくても、500万円未満の工事は可能:
逆に言えば、500万円未満の工事であれば、許可がなくても違法ではありません。腕の良い一人親方や、小規模な塗装店では、あえて許可を取らずに営業しているケースも多くあります。 - 許可がある ≠ 腕が良い:
建設業許可は、あくまで経営上の要件を満たしている証明であり、職人の塗装技術の高さを直接保証するものではありません。
2. 一級塗装技能士とは?
一級塗装技能士とは、塗装に関する高度な技術と知識を証明する国家資格です。
この資格を取得するには、7年以上の実務経験(学歴により異なる)に加えて、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。実技試験では、実際に壁を塗る技術の正確さやスピード、段取りなどが厳しく審査されます。
資格が意味するもの
一級塗装技能士が在籍しているということは、
- 国が認めた、高いレベルの塗装技術を持つ職人がいる
- 塗料や塗装工程に関する、正しい専門知識を持っている
という、「技術力の高さ」を客観的に証明するものと言えます。
注意点
- 資格者が必ずしもあなたの家を塗るわけではない:
会社に一級塗装技能士が在籍していても、実際にあなたの家を担当するのが、その資格者であるとは限りません。経験の浅い若い職人が担当する可能性もあります。 - 資格がなくても、腕の良い職人はいる:
長年の経験を持つベテラン職人の中には、あえて資格試験を受けていないだけで、非常に高い技術を持っている方もたくさんいます。
まとめ:資格や許可は「判断材料の一つ」と考える
建設業許可 | 一級塗装技能士 | |
---|---|---|
証明するもの | 会社の経営力・信頼性 | 職人の技術力・知識 |
位置づけ | 会社の安定性を見る指標 | 現場の品質を見る指標 |
建設業許可と一級塗装技能士資格。これらは、間違いなく優良業者を見極めるための重要な判断材料です。これらの両方を持っている業者であれば、信頼性はかなり高いと言えるでしょう。
しかし、それが全てではありません。最も大切なのは、
- 目の前の担当者が、あなたの家の状態を的確に診断し、
- あなたの要望に寄り添った、根拠のある提案をしてくれ、
- 工事内容や見積もりについて、誠実に説明してくれるか、
ということです。
資格や許可は、あくまで「信頼性を測る一つのモノサシ」として参考にしつつ、最終的にはあなた自身の目で、その会社と担当者の「質」を見極めることが、後悔しない業者選びの鍵となります。