お客様からのご質問
こんにちは、AI館長の塗田さん。
夏の電気代と2階の蒸し暑さに悩み、次の外壁塗装では「遮熱塗料」を導入したいと真剣に考えています。塗るだけで涼しくなり、光熱費も削減できるなんて、とても魅力的ですよね。
ただ、良いことばかりではないだろうと、少し慎重にもなっています。
友人から聞いたり、インターネットで見たりしたのですが、「遮熱塗料は普通の塗料よりもカビやコケが生えやすい」とか、「塗りたての最初の数年は良くても、すぐに遮熱効果が落ちて長持ちしない」といった、気になる噂を耳にしました。
せっかく一般の塗料より高い費用をかけるのに、数年で汚れたり、肝心の効果がなくなったりするのは絶対に避けたいです。
この噂は、実際のところ本当なのでしょうか? 住宅のプロとして、ぜひ忖度のない「生々しい真実」を教えてください。
AI館長・塗田からの回答
こんにちは!外壁塗装リフォーム館のAI館長、塗田です。
〇〇様、遮熱塗料のデメリットについてのご質問、ありがとうございます。非常に鋭い、そしてリフォームを成功させる上で最も重要なポイントに気づかれましたね。
その噂、単刀直入に申し上げますと、「半分は正しく、そして半分は誤解」です。
そして、その「半分正しい」という部分にこそ、後悔する人と満足する人を分ける、重大な落とし穴が隠されています。安易な業者選びや塗料選びをしてしまうと、まさに噂通りの「数年でカビだらけ」「効果がなくなった」という最悪の結果を招きかねません。
今回は、その遮熱塗料のデメリットに関する「生々しい真実」と、10年後も「この塗料にして本当に良かった」と心から思えるための「プロの対策」を、一切包み隠さずお話しさせていただきます。ぜひ、最後までお付き合いください。
第1章:【真実①】「遮熱塗料はカビ・コケが生えやすい」は本当か?
お客様:
「半分は正しい」ということは、やっぱり、カビやコケが生えやすいというのは事実なんですね…。機能的な塗料なのに、なぜそんなことが起こるのでしょうか?
塗田:
はい。まずは事実として、**「条件によっては、一部の遮熱塗料は一般的な塗料よりもカビ・コケの繁殖リスクが高まる可能性がある」**ということをご理解ください。
お客様:
ショックです…。でも、その原因を知りたいです。
塗田:
もちろんです。原因が分かれば、対策も明確になりますからね。理由は大きく2つあります。
【原因1】熱を反射するがゆえの「結露」
遮熱塗料の基本性能は、太陽光を反射して「熱を持たない」ことです。これは日中、大きなメリットになるのですが、夜間になると少し状況が変わります。
熱を持ちにくいということは、**「冷えやすい」ということでもあります。夜間、放射冷却によって外壁の表面温度がグッと下がり、周囲の空気よりも冷たくなってしまうのです。
すると、空気中の水分が冷えた壁面で水滴に変わる「結露」**が発生しやすくなります。
カビやコケは、湿気が大好きです。壁面の湿った状態が長時間続くことで、それらの菌が根を張り、繁殖するための絶好の環境が生まれてしまうのです。
【原因2】塗料に含まれる「栄養分」
塗料の塗膜(塗装の膜)には、柔軟性を持たせるために「可塑剤(かそざい)」という成分が含まれていることがあります。この可塑剤が、時間の経過とともに塗膜の表面に少しずつ染み出してくることがあります(ブリード現象)。
この染み出した可塑剤がベタベタするため、空気中の汚れを吸着しやすくなります。そして、その**付着した汚れが、カビやコケにとっての「栄養分」**となってしまうのです。
お客様:
なるほど…。遮熱塗料の特性が、皮肉にもカビやコケを呼び寄せてしまうことがあるのですね。では、もう遮熱塗料は諦めるしかないのでしょうか…?
塗田:
いえいえ、ご安心ください!もちろん、万全の対策があります。
現代の優れた遮熱塗料は、この弱点を克服するために開発されています。塗料を選ぶ際に、絶対に確認していただきたいのが、**「防藻(ぼうそう)・防カビ機能」**が添加されているかどうかです。
エスケー化研の「クールタイトシリーズ」や日本ペイントの「サーモアイウォールシリーズ」といった、国内トップメーカーが提供する信頼性の高い遮熱塗料には、この防藻・防カビ剤が標準で、かつ強力に含まれています。これにより、菌の発生と繁殖を長期間にわたって抑制することが可能です。
後悔しないためのポイント
「遮熱塗装をしたら、2年で北面がカビだらけになった」という失敗談のほとんどは、価格の安さだけを追求し、この**「防藻・防カビ機能」が弱い、あるいは含まれていない安価な塗料**を提案・施工されたケースです。特に、川や公園が近い、家の北側に日が当たらないなど、湿気が多い立地の場合は、この機能の有無が建物の美観を大きく左右します。
第2章:【真実②】「遮熱効果は長持ちしない」の真相
お客様:
カビ対策についてはよく分かりました。もう一つの不安が、肝心の「遮熱効果」の持続性です。塗りたては涼しいと実感できても、その効果が2~3年でなくなってしまう、なんてことは本当にないのでしょうか?光熱費の削減を期待しているだけに、ここは非常に重要なポイントです。
塗田:
そのご心配も、まったくその通りです。そして、こちらも厳しい真実からお話しします。
遮熱塗料の性能は、残念ながら経年とともに必ず低下します。
塗りたての100%の状態を、10年間維持し続けることは物理的に不可能です。
お客様:
えっ、そうなんですか!では、何のために高いお金を…。
塗田:
お待ちください。重要なのはここからです。その性能低下のスピードが、選ぶ塗料によって「天と地ほどの差」になるということです。
優れた塗料は、10年経っても70~80%の効果を維持する一方、粗悪な塗料は3年で半分以下の効果にまで落ち込んでしまう、ということが現実に起こるのです。
では、遮熱効果を低下させる最大の原因は何だと思いますか?
それは、**「汚れ」**です。
お客様:
汚れ、ですか?
塗田:
はい。遮熱塗料の仕組みは、外壁に当たる太陽光を鏡のように「反射」することで、熱の吸収を防ぐ、というものでしたね。
もし、その鏡の表面が、泥やホコリで汚れて黒ずんでしまったらどうなるでしょう?
お客様:
光を反射しなくなりますね…。
塗田:
その通りです!つまり、外壁が汚れてしまうと、塗料の反射率が著しく低下し、遮熱効果もそれに比例してガクンと落ちてしまうのです。雨垂れの黒いスジや、交通量の多い道路からの排気ガス、空気中のチリやホコリの付着が、遮熱効果にとって最大の敵なのです。
お客様:
衝撃です…。では、効果を長持ちさせるには、どうすれば良いのでしょうか?
塗田:
答えはシンプルです。**「圧倒的に汚れにくい塗料」を選ぶこと。これに尽きます。
その性能を示すキーワードが「超低汚染性(ちょうていおせんせい)」**です。
この「超低汚染性」を持つ塗料には、汚れを寄せ付けないための、主に2つのハイテク技術が使われています。
- 緻密で硬い塗膜:塗料の分子同士が緻密に結合し、表面が非常に硬く滑らかになっています。これにより、汚れが入り込むミクロの隙間すら与えません。
- 親水性(しんすいせい):これが最も重要な技術です。塗膜の表面が、油ではなく「水」に非常によく馴染む性質を持っています。これにより、雨が降ると、壁に付着した汚れの粒子と塗膜の間に雨水がスッと入り込み、汚れを浮かせて、そのまま雨水と一緒に洗い流してくれるのです。いわゆる**「セルフクリーニング効果」**ですね。
アステックペイント社の「超低汚染リファインSi-IR」などは、この機能を特に強化した遮熱塗料として非常に高い評価を得ています。
後悔しないためのポイント
遮熱効果の持続性は、塗料の「低汚染性」で決まります。「遮熱」という言葉だけに飛びつかず、カタログの「低汚染性」や「親水性」の項目を必ずチェックしてください。ここを妥協すると、数年後の夏の電気代に大きな差となって表れてきます。
ちなみに、住まい全体の遮熱・断熱効果を長期間、安定して維持するという視点では、外壁塗装と合わせて**「内窓」の設置**を検討するのも非常に有効な手段です。外壁は経年でどうしても汚れて性能が低下しますが、室内側にある内窓の断熱性能は、汚れたり劣化したりする心配がありません。**外壁で太陽熱の侵入を一次ブロックし、万が一侵入してきた熱も窓の断熱性能で二次ブロックする。**この二段構えの対策が、将来にわたって光熱費を抑え続けるための最強の組み合わせと言えるでしょう。
まとめ:後悔しない遮熱塗装は「塗料選び」と「業者選び」がすべて
お客様:
お話を聞いて、霧が晴れたような気持ちです。
「遮熱塗料」という一つの言葉で括っていましたが、その中身はピンキリだということがよく分かりました。
つまり、ただ「遮熱」というだけでなく、**「防藻・防カビ機能」で美観を保ち、「超低汚染性」**で遮熱効果を長持ちさせる。この2つの付加機能がしっかりしている製品を選び、それを正しく施工してくれる業者に頼むことが何よりも重要だということですね。
塗田:
まさしくその通りです!〇〇様、完璧なご理解、ありがとうございます。
後悔される方の典型的なパターンは、「複数の業者から相見積もりを取り、一番安いという理由だけで契約してしまった」というケースです。その安さの裏には、今回お話ししたような重要な機能が省かれた、グレードの低い塗料が使われている可能性が非常に高いのです。
遮熱塗料は、正しく選び、正しく施工すれば、10年以上にわたって「夏の圧倒的な快適さ」と「光熱費の削減」という、計り知れない恩恵をもたらしてくれる、非常に価値のある自己投資です。
ぜひ、今回の知識を武器に、業者からの提案書や見積書をプロの目線でチェックし、後悔のない外壁塗装を実現してください。もし、提案されている塗料について分からないことや、業者選びに不安があれば、いつでもまた私、塗田にご相談くださいね。

