お客様からのご相談
【大阪府堺市・S.T様(50代・ご夫婦)】
こんにちは。退職金の一部を使い、築28年になる我が家の初めての外壁塗装を計画しています。これが最後の大きなリフォームになるかもしれないと思うと、絶対に失敗したくないという気持ちが強く、じっくりと業者を選んできました。
ほぼ気持ちは固まっているのですが、契約を前にして、業者さんから言われた「安心の10年保証」という言葉が、逆に気になり始めています。具体的に何を、どんな場合に保証してくれるのか、その範囲が全く分かりません。色褪せも保証してくれるのでしょうか?
また、失礼な話ですが、10年という長い期間、その会社が存在し続けてくれるのか、という不安もあります。もし倒産してしまったら、保証はただの紙切れになってしまいますよね…。
来週、契約書にサインする予定ですが、細かい文字を読むのは苦手で…。支払い条件も「契約時に半金」と言われていますが、これが一般的なのかも分かりません。後から後悔しないために、契約書のどこに「罠」が潜んでいる可能性があるのか、最低限、ここだけは見ておけというポイントを教えていただきたいです。
AI館長・塗田がお答えします!
S.T様、こんにちは!外壁塗装リフォーム館のAI館長の塗田です。
人生の大きな節目に、大切なお住まいのメンテナンスをご決断されたのですね。そして、契約という最終ステップを前に、その慎重さ、本当に素晴らしいです。「保証」という耳触りの良い言葉を鵜呑みにせず、その中身まで見極めようとされる姿勢こそが、10年後の安心を守る最大の盾になるのですから。
おっしゃる通り、契約書と保証書は、業者と交わす**「未来への約束手形」**です。
その約束が、本当に万が一の時に守られる、信頼できるものなのか。今日は、その価値を正しく見抜くための、最後の総仕上げとまいりましょう。
「自社保証」と「メーカー保証」、そして「保険」。3つの違いを知る
まず、「保証」には種類があることをご存じでしょうか。この違いを理解することが第一歩です。
- ① 自社保証(工事保証)
- これは、施工業者が、自社の**「工事の品質」**を保証するものです。
- 例えば、「施工が原因で、塗膜が3年で剥がれてきた」といった場合に、無償で手直しをしてくれます。S.T様が言われている「10年保証」は、多くの場合これを指します。
- 注意点: 保証内容は会社の規定によります。そして、会社の存続が保証の前提となります。
- ② メーカー保証(製品保証)
- これは、塗料メーカーが、自社の**「製品の品質」**を保証するものです。
- 「塗料そのものに欠陥があった」場合に適用されますが、認定施工店による正しい施工が行われていることが条件となり、適用されるケースは比較的稀です。
- ③ リフォーム瑕疵(かし)保険
- これが、S.T様の**「もしも会社が倒産したら…」という不安に対する、一つの答え**です。
- これは、業者が倒産してしまっても、保険法人が補修費用を肩代わりしてくれる制度です。業者がこの保険に登録しているか(登録事業者か)を確認し、任意で加入を依頼することができます。施主にとっては、最後のセーフティネットになります。
口約束は無意味!保証書で確認すべき「5つのW」
「うちは10年保証ですから、大丈夫ですよ!」という担当者の言葉。それだけでは何の効力もありません。重要なのは、書面(保証書)に何が書かれているかです。以下の「5つのW」が明確に記載されているか、必ず確認してください。
- When(いつまで):保証期間
- 「10年間」「5年間」といった期間が明記されていますか?
- Who(だれが):保証主体
- 施工業者の会社名、住所、代表者名がきちんと記載されていますか?
- Where(どこを):保証対象箇所
- 「外壁」「屋根」「付帯部」など、保証される範囲が具体的に書かれていますか?
- What(なにを):保証対象となる事象
- ここが最重要です。「塗膜の剥離、膨れ、著しい変退色」など、どんな状態になったら保証が適用されるのか、具体的に記載されていますか?
- 逆に、経年による自然な色褪せや汚れ、チョーキング現象(手で触ると粉が付く状態)などは、一般的に保証の対象外となることが多いです。
- Why(なぜ=免責事由):保証が適用されないケース
- 「天災(地震、台風など)による損傷」「施主様の故意・過失による損傷」「建物の構造的な問題に起因する不具合」など、保証が効かない条件も必ず確認しておきましょう。
会社の倒産リスクをどう見抜く?
10年後に会社が存在するかを100%見抜くことは誰にもできません。しかし、リスクを低減するために、会社の安定性を測るいくつかの指標はあります。
- 創業年数と地域での実績: この業界で10年、20年以上、同じ地域で事業を続けていること自体が、信頼の証です。
- 建設業許可の有無: 経営状態や技術力など、国が定める一定の基準をクリアしている証拠になります。
- リフォーム瑕疵保険への登録: 前述の通り、この保険に登録できる業者は第三者機関による審査を受けているため、一つの判断材料になります。
支払い条件から契約書の印紙まで!最終チェックリスト7選
さあ、いよいよ契約書本体です。サインをする前に、最低でも以下の7項目は指差し確認してください。
- ✅ 工事内容と金額は、最終の見積書と完全に一致しているか?
- ✅ 支払い条件は健全か?
- 「契約時1/3、着工時1/3、完工時1/3」や「契約時50%、完工時50%」などが一般的です。「契約時に全額前払い」を要求する業者は、絶対に契約してはいけません。
- ✅ 工事期間(着工予定日~完工予定日)は明記されているか?
- ✅ 遅延した場合の取り決め(遅延損害金など)はあるか?
- ✅ 保証内容を記載した「保証書」が、契約書とセットで添付されているか?
- ✅ クーリング・オフ制度についての説明書きはあるか?
- 訪問販売や電話勧誘などで契約した場合、契約書面を受け取ってから8日以内であれば、無条件で契約を解除できる制度です。その説明が法律で義務付けられています。
- ✅ 契約金額に応じた「収入印紙」が貼られ、割印がされているか?
- これは、その契約書が法的に有効な証拠となります。
この契約前の少しの時間が、S.T様ご夫妻のこれから10年、20年の安心を築きます。これは面倒な作業ではなく、**「未来の安心を購入するための、最も重要な儀式」**です。全ての疑問を解消し、心から納得してサインをして、あとはプロの仕事に安心して身を委ねてくださいね。

